或る女


 据え膳は毒々しく、腹に入れたら死んでしまいそうな色合いをしていた。するりと懐に飛び込んできた小さな身体に、子種が欲しいと直裁に言われて意味を理解することを放棄した。それだけしてもらったら、それでもう良いと言われて、いよいよカッと熱があがる。よくも馬鹿にしたものだと鼻で笑って、それでも衝動的に組み伏せたところで威嚇にとどめた。ぎしぎしとベッドが軋んで、押さえつけた手首から、女の身体が強張るのを感じた。必要以上に怯えさせなくて良い。燐音がこれをどうにでも出来ることを、この女にわからせれば、それだけで良いのだ。そうして諦めて、ただの生意気な小娘に、ただのいつものかわいいこはくに戻れば、燐音はこれを冗談にできる。しかし女は女のままだった。ねっとりと足を絡ませて、燐音の雄を刺激するように膝をあてる。半開きの口が物欲しそうに、艶々とはしたなく光っている。投げやりというよりは切実で、常の幼さをなげうった妖美さで燐音を誘う。ようやく丸いと言えなくもない幼い身体には無数の小さな傷がある。燐音はその一つ一つを労るようにキスをして、宥めるように嫌がらせをした。時間稼ぎだった。早くこはくに叱られたくて、いつものように、とんでもない暴言を浴びせてほしくて。それなのに、耳につくのは媚びるような甘い息遣いばかりで、泣きそうになった。一体、俺っちが何したよ。最後の悪足掻きで、喉元に噛みつくようにキスをした。極まるように、くっと身体を差し出して、女は笑った。


「御免」