HiMERUとこはく
ストレイシープ余白
HiMERUとこはくが後部座席に乗って、ニキは燐音に助手席に乗せられた。
「なぁ、ほんまに誰がやったか見当つかんの?」とこはくがHiMERUに探るような甘えるような顔で話しかけている。猫撫で声がこんなに怖い子も珍しい。絶対まだ怒ってる。
「えぇ」
「ふぅん」
「事務所の施設で代用できますから、本来通う必要もないのですよ。特待生の特権が便利だっただけなので、もうしばらくは行きません」
「逃げるみたいで腹立たん?」
「いいえ?」
HiMERUが完璧な笑顔を作って言い切るのをミラー越しに伺う。こはくはそれを受けて、長々とため息をついた。
「HiMERUはんがええならええけど」
「ふふ。だから桜河、機嫌なおしてください」
「……大事ないなら、何よりやね」
「ええ。心配してくれてありがとうございます」
こてん、とこはくの頭がHiMERUの方に倒れて、HiMERUはその上にこてんと頭を乗せた。ぎゅっと膝の上でお互い手を握っている。仲直りしたみたいっすね。良かった良かった。